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2020.03.14

おくる装い。

こんにちは。
京都の着付け・着付け教室 着つけヒラリです。

ここ最近、喪の装いについて考える機会があり
知っていることや感じたことを記しておこうと思ったのですが、
直截な表現は、ご覧になった方がびっくりされるかと思い
タイトルは少しくるんだ言葉にいたしました。

喪服の着付けのご用命を受けた際には
一言でいうと、「万事ひかえめに」といった感じを意識して着付けさせていただくようにしています。
具体的には、少し衣紋の抜き方をひかえめに
お太鼓も大きくなりすぎないように、
衿元もあまり肌を露出せず、半衿の見せ加減も細めに、といった感じです。
喪服を着るのは、嬉しいことではないので
全体に着姿もつつましやかな姿になるように、と思っています。

もう一つ大切なのが、「帯締めの房の向きを左右とも下向き」にすること。
こちらは着付け教室に来てくださり、
初めてうちで着付けを習ってくださった方には必ずお伝えしています。

上に記したのと反対にすると、華やかでおめでたい雰囲気に作れます。


ふだんはいろんな場面で和装をもっと身近に楽しめたら、と思いますし
きっとおくる立場の方は
旅立つ方へしてあげられる最後のこと、きちんと送ってあげたいと思われるものでしょうけれど
ある程度の年齢になった今では
和のおくる装いは、ある程度心の準備ができていないと難しいかも、と
思ったりもいたします。

和の喪服は、そろえた状態で保管するのは訃報を待つようで縁起が悪いと
帯締めをしまう場所を別にしたり、
一式すべてそろった状態では保管しないのだそうですが
思いもかけぬタイミングで「そのとき」がやってきてしまったら
どこにしまったかしらん、と探すのは一苦労ですよね。
ましてや、悲しみに暮れるひまもなく
あれやこれやと追いかけられるタイミングではなおさらのことと思います。

小物や何かを欠けさせた状態での保管は
周囲の人への奥ゆかしい心遣いでありながら
きものが身近でなくなった昨今には、
何とも悩ましいものとなったなあと思います。

着つけ ヒラリ 着つけ ヒラリ